空き家を共有名義で相続したときには、高額な相続税を支払う可能性があります。
節税対策を効果的におこないたいなら、相続空家の特例を利用するのがおすすめです。
そこで今回は、相続空家の特例とはどのようなものか、共有名義物件への適用可否や併用できるケースを解説します。
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共有名義の物件の相続で知っておきたい「相続空家の特例」とは
相続空家の特例とは、相続した空き家を売却したときの利益から最大3,000万円まで控除できる制度です。
国内の空き家をこれ以上増やさないための対策として、平成28年4月1日から適用されています。
この制度を適用させるには、以下の要件を満たさなければなりません。
より少ない費用で不動産売却ができるように、相続空家の特例とは何か概要を確認しておきましょう。
相続空家の特例を適用できる方とは
相続空家の特例が利用できるのは、被相続人が死亡して空き家になった家屋や土地を相続または遺贈により取得した方です。
この適用要件を満たした方は、不動産売却益から最大3,000万円控除できますが、例外は存在するのであらかじめ確認しておく必要があります。
とくに、令和6年1月1日以後の譲渡から家屋や土地を取得した相続人が3人以上いるケースでは、特別控除が最大2,000万円となるので注意しましょう。
共有名義で不動産を相続するときは、控除額が低くなるおそれがあるので、相続時に押さえておくことをおすすめします。
相続空家の特例を適用できる不動産とは
相続空家の特例を適用させるためには、被相続人が亡くなる直前まで一人暮らししていた家屋でなければなりません。
被相続人に同居人がいたケースでは、特例を適用できない可能性が高いので注意しましょう。
ただし、譲渡が平成31年4月1日以後なら、被相続人が老人ホームに入居していたケースでも適用可能です。
また、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることも条件に挙げられます。
区分所有建物登記がされている建物は、特例が適用できないので注意しましょう。
相続空家の特例を適用できるその他の条件とは
相続空家の特例を適用させるなら、相続開始日から3年経過した年の12月31日までに譲渡する必要があります。
売却代金が1億円以下であることも条件に挙げられるので、不動産売却時には注意しましょう。
なお、共有名義の不動産を売却したときには、共有者の売却代金を合算して判定するため、条件である1億円に達しやすくなるはずです。
その他、家屋が一定の耐震基準に適合していることや、事業・貸付利用でないことなどが挙げられます。
相続空家の特例を利用するときは、これらの条件を満たしているか事前に確認しましょう。
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共有名義の物件で相続空家の特例を利用するときの注意点
相続空家の特例は要件を満たせば、共有名義物件にも適用できます。
ただ、被相続人と相続人が共有するケースと相続人同士が共有するケースでは、適用できる範囲が異なるので注意が必要です。
それぞれの適用範囲をあらかじめ把握しておけば、直前で慌てる心配もないでしょう。
被相続人と相続人の共有で適用可能な範囲
売却した不動産の共有名義人が被相続人と相続人のケースでは、被相続人の持分に特例を適用できます。
相続の前から相続人が保有していた持分には適用できないので、自分がどのような立場にいるのか確認する必要があるでしょう。
たとえば、被相続人と相続人で半分ずつ共有していたとすると、相続空家の特例を利用できるのは故人の持分のみです。
共有名義物件の2分の1に特例が適用できるため、一般的な不動産売却より税金を抑えられる可能性が高まります。
相続人同士の共有で適用可能な範囲
売却した空き家の共有名義人が相続人同士なら、共有者それぞれの持分に特例を適用できます。
共有名義人が2人いたケースでは、1人あたり3,000万円で最大6,000万円の控除が受けられるはずです。
ただし、不動産の共有はトラブルが多い傾向にあります。
共有名義で空き家を相続するときは、不動産や法律に関する専門的な知識をあらかじめ身に付けておくと良いでしょう。
相続後すぐに空き家を売却すれば、共有名義でも高く売れる可能性があるので、状況に合わせて特例を利用する選択肢も考えておく必要があります。
共有名義人が3人以上いたときの対応
令和6年1月1日以降に譲渡をおこない、空き家を相続した方が3人以上いたときは、各相続人の控除額が2,000万円までとなります。
3人の共有名義で空き家を売却したときには、最大6,000万円の控除が受けられるでしょう。
それぞれの控除額が減ってしまうため、相続後に共有名義の不動産を売却するときは相続人の人数にも注目しておく必要があります。
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相続空家の特例と小規模宅地等の特例が併用できるケースとは
小規模宅地等の特例とは、330㎡までの土地の評価を80%下げて土地にかかる税金を大幅に減らす制度のことです。
この制度は、以下の不動産に適用できます。
●被相続人の配偶者が取得した不動産
●被相続人と同居していた相続人が取得した不動産
これらの条件を満たせば小規模宅地等の特例が利用でき、大幅な節税効果が見込めます。
さらに、小規模宅地等の特例は相続空家の特例とも併用可能です。
ただし、すべてのケースで併用できるわけではないので、事前に要件を確認しておきましょう。
小規模宅地等の特例を併用できるケース①相続人に持家がないとき
小規模宅地等の特例は被相続人と相続人が同居していたことが条件となっていますが、例外はあります。
相続人に持家がないときは、生前に同居していなくても特例の併用が認められるので覚えておきましょう。
このようなケースは「家なき子特例」と呼ばれ、相続後に「小規模宅地等の特例」を利用するのが原則です。
その後、相続空家の特例を受ける手順となります。
併用するときの注意点として、相続した空き家は相続税の申告期限まで保有しておくようにしましょう。
相続してすぐに売却してしまうと、制度を併用できない可能性があります。
小規模宅地等の特例を併用できるケース②故人と住む配偶者がいない
制度を併用できる2つ目の条件は、被相続人と同居する配偶者や法定相続人がいないことです。
たとえば、生前に被相続人と配偶者が別居していたケースでは、特例の併用が可能となります。
その他、空き家の相続人が相続開始前の3年以内に自分の持家や配偶者の持家・3親等内の親族および同族会社が所有する家屋に住んでいないことも要件のひとつです。
相続税の申告期限とは
制度を併用させるために重要なのが「相続税の申告期限」です。
相続税の申告期限は、相続発生から10か月後となっています。
相続税の申告期限を待たず不動産を売却してしまうと、節税効果を見込めなくなってしまうので注意しましょう。
相続後はさまざまな手続きに追われる可能性があるため、期限を忘れないようにあらかじめスケジュールを立てておくことも重要です。
一つひとつの手続きを丁寧におこなっていけば、高額な税金も抑えられるでしょう。
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まとめ
相続空家の特例とは、相続空き家を売却したときの利益から最大3,000万円まで控除できる制度です。
この制度を適用させるには、被相続人と同居していた相続人が取得した不動産など一定条件を満たす必要があります。
土地の評価を80%下げられる「小規模宅地等の特例」と併用できるケースは、相続人に持家がないときや故人と住む配偶者がいないときなどです。
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