不動産を共有名義で所有すると、さまざまなトラブルに発展するケースがあるため注意が必要です。
とくに、共有名義で空き家を相続した場合、扱いにくいからといって放置しておくと、近隣トラブルが起きたり、行政処分を受けたりするリスクが高まります。
今回は、共有名義の不動産を空き家のまま放置するリスクをはじめ、空家等対策特別措置法の概要や処分方法について解説します。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
共有名義の不動産を空き家のまま放置するリスク
共有名義の不動産に対して、売却や改築などの「変更行為」をする場合は、共有者全員の同意が必要です。
そのため、共有者間で空き家の活用や処分方法がいつまでもまとまらず、そのまま放置されてしまう場合があります。
しかし、共有名義の不動産を空き家のまま放置することは、多くのリスクがあるため避けたほうが良いです。
ここでは、以下の4つのリスクについて解説します。
リスク①犯罪の温床になる
放置された空き家は人目に付きにくいため、犯罪の温床として利用されやすいです。
犯罪の例として、放火や違法薬物の栽培、不法占拠などが挙げられます。
長期間家主が状態を見に来ない空き家は、不良のたまり場になるかもしれません。
所有する空き家の敷地内で犯罪行為や迷惑行為がなされた場合、所有者に責任を問われる可能性もあります。
リスク②近隣トラブルになる
家を放置したままにしていると、近隣トラブルにつながる場合があります。
ごみを不法投棄されたまま長い時間が過ぎ、悪臭や害虫などが発生して近隣に迷惑をかけるかもしれません。
雑草が生い茂ったり、建物が劣化したりして外観が悪くなり、地域の景観を損ねる場合もあります。
深刻なケースでは、損壊した建物の一部が隣の家や通行人に当たり、損害賠償を求められる可能性があります。
リスク③家が劣化する
人が住まない家は、老朽化が進むスピードが速いです。
定期的な清掃や換気をおこなわないと、汚れが蓄積しやすくなります。
外壁の傷みや設備の故障なども、人が住んでいないと発見が遅くなり、早期の修繕が難しくなります。
劣化が進むと家の資産価値が下がるため、後で売却をする場合に売却価格が安くなるかもしれません。
リスク④共有者間の関係悪化
空き家の管理や処分について明確に決まっていないと、毎回その場での対応となり、共有者間で不公平感が生じます。
たとえば、清掃や修繕をおこなった場合、その費用をどのように分担するかでトラブルが生じるかもしれません。
また、固定資産税の納税義務は共有者全員にありますが、納税通知書は代表者に送付されます。
そのため、代表者が立て替えて支払ったものの、他の共有者が代表者への支払いを拒むなどの状況が生じ得ます。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
共有名義の空き家を放置すると空家等対策特別措置法の対象になる?
空き家を放置されている場合、空家等対策特別措置法の対象になる可能性については知っておく必要があります。
ここでは、空家等対策特別措置法の概要と適用された場合のリスクについて解説します。
空家等対策特別措置法とは?
空家対策特別措置法とは、適切に管理されていない空き家を「特定空家」に指定する法律です。
空家対策特別措置法は、リスクが多い空き家を減らし近隣住民を守るための措置として2014年に成立しました。
特定空家に指定されるのは、災害時に倒壊リスクのある建物や周囲の景観を著しく損ねている空き家などです。
特定空家に指定されると、行政から助言や指導、勧告を受けます。
勧告を無視し続けると、行政処置を受けるリスクがあるため、注意が必要です。
空家対策特別措置法が適用されると税金が高くなる
空家対策特別措置法により特定空家に指定されると、固定資産税が高くなる点はリスクのひとつです。
固定資産税には、住宅用の土地に建てられた家の場合、土地にかかる固定資産税が軽減される制度があります。
200㎡以下の土地の場合、税額が土地評価額の6分の1、200㎡を超える部分は3分の1になります。
しかし、特定空家に指定されると、この優遇制度の対象外になるため、高額な固定資産税を払わなければいけません。
空家対策特別措置法で受ける行政処分
特定空家に指定された後も空き家を放置し続けると、最終的に行政処分を受ける可能性があります。
自治体からの命令を受けても改善要求に従わない場合、50万円以下の罰金刑を受けます。
また、行政代執行により強制的に空き家が解体されるケースもありますが、解体費用は所有者が負担しなければいけません。
解体費用を支払わない場合、現金や金融資産、自動車など支払いに充てられるものが差し押さえられます。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
放置された共有名義の空き家の処分方法として解体は適切?
空き家の状態によっては、解体を検討する場合もあるでしょう。
ここでは、解体にかかる費用やメリット・デメリットについて解説します。
共有名義の空き屋を解体する場合の費用
一軒家の空き家を解体する場合、建物の規模や構造によって費用が異なります。
30坪程度の家で比較すると、木造の場合は解体費用に100万円~200万円程度かかります。
鉄骨造の場合は150万円~250万円、鉄筋コンクリート造では200万円~300万円程度が相場です。
建物の撤去のほかにも、塀の解体や庭木・残置物の撤去などに追加料金がかかる場合があります。
付帯工事をどこまでおこなうかは所有者が選択できますが、一般的には残置物が何もない更地のほうが売却に有利です。
共有名義の空き屋を解体するメリット
共有名義の空き屋をそのまま放置せず解体することには、多くのメリットがあります。
損壊や倒壊、犯罪の温床になることなどのリスクがある空き家を解体すれば、土地の安全性が確保されます。
特定空家に指定されて行政処分を受けたり、近隣住民とトラブルが起きたりなどのリスクの低減も可能です。
また、老朽した建物がなくなると管理や修繕のための費用が節減できます。
更地になれば、土地の用途が増え、売却や貸地などの選択肢が広がります。
解体費用と節減できる費用、土地の価値増加率などを比較して、解体するかどうかを検討することがおすすめです。
共有名義の空き屋を解体するデメリット
共有名義の空き屋を解体するデメリットは、固定資産税が上がる可能性がある点です。
土地の固定資産税には、住宅用に使われている場合に適用できる減税制度があります。
しかし、家を解体して更地にするとこの減税制度が利用できなくなるため、固定資産税が高くなります。
また、利用価値のある建物の場合、解体してしまうと資産価値の損失になるかもしれません。
利用可能な建物であれば、リフォームやリノベーションをして賃貸や売却をしたほうが得になる場合もあります。
解体を選択する前に、建物の利用価値を正確に見極め、解体費用と比較検討することは欠かせません。
空き家を解体した後、更地になった土地を放置しない点も注意が必要です。
解体により建物の悪用や老朽化は避けられるとはいえ、土地に草木が生い茂って外観が悪化したり、不法投棄されたりする可能性は残ります。
更地になった後も、適切な管理や処分方法を検討することが大切です。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
まとめ
共有名義の空き屋を放置していると、犯罪の温床になったり、近隣トラブルが起きたりするリスクがあります。
特定空家に指定されると、固定資産税の優遇制度の対象外になる点に注意が必要です。
処分方法として解体を選択する場合、メリット・デメリットを比較考慮し、費用面でも損にならない選択をすることが大切です。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む