少子高齢化や相続人がいないケースなどの影響を受け、日本では、全国的に空き家が増えている傾向にあります。
相続後に空き家になる可能性がある不動産は、維持管理や老朽化によるリスクにつながるため、早い段階で取り組める対策の検討が大切です。
そこで今回は、空き家対策としても有用な家族信託について、制度の仕組みや利用のメリットを解説します。
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家族信託の予備知識!空き家となる原因について
全国で空き家が増加している原因を知ることは、家族信託などの空き家対策の必要性を検討するうえでも、備えておきたい知識となります。
まずは、空き家が生まれる原因や社会背景について解説します。
空き家のおもな増加原因
家族信託を考えるうえでも押さえておきたいのが、空き家が生まれる背景であり、大きな原因となっているのが高齢者世帯や子世帯の核家族化の増加です。
以前は多かった親と子の同居ですが、現代では少なくなり、それに伴って家を住み継ぐケースも減少しています。
実家を出て、子世帯が独立し、親世帯も高齢者のみの世帯となる場合が見られます。
高齢者世帯では、家に暮らしている親が、その後、介護施設や老人ホームなどに入所や入院することも少なくありません。
このような流れが、空き家が生まれる原因のひとつとして考えられています。
また、不動産相続や所有者の認知症の発症などによって家が放置されることは、空き家の増加につながり、社会問題にも通じています。
適切な管理が難しい空き家の所有は、固定資産税や維持管理費がかかり続けるだけでなく、家の老朽化が早まり、周辺への影響も懸念されるリスクです。
リスクを防ぐためにも、家族信託など、空き家対策を講じることが大切になっていきます。
相続による原因
相続は、空き家が生まれる原因と深く関わる要素です。
たとえば、相続人がいないケースは、空き家が生じる原因になり得ます。
相続人がいない場合、空き家を含めた遺産は、相続財産管理人選任といった手続きをふみ、国庫に帰属されます。
一方で、課税対象となる相続人がいなければ、固定資産税の支払いが増えるなどもないため、放置されることがあるのです。
相続をした子が、すでに、遠方で自分の持ち家を所有している場合も、空き家が生じやすいケースです。
遠方に暮らしていると管理も困難なため、放置されることがありますが、この場合の対策には生前贈与や遺言が挙げられます。
しかし、生前贈与は受贈者となる子に税金がかかるため、それを考慮したが親が贈与をあきらめ、相続に至ってしまうことがあります。
遺言や贈与は、子に不動産を継承することはできても、孫に受け継ぎたい方がいなければ、空き家になる可能性が出てくることが注意したい点です。
また、遺産分割の話し合いがスムーズにいかず、相続人が決まらずに、共有状態となる場合があります。
不動産売却をしようと思っても相続人の同意が必要であるため、処分が進まず、放置してしまうケースも見られます。
認知症を発症した場合
不動産の売買契約が難しくなり、放置してしまうことに注意したいのが、所有者が認知症を発症した場合です。
判断能力を認知症などにより失うと、その方が売買契約をおこなっても、無効とみされます。
子を委任によって代理人に立てることもできますが、認知症が重く判断能力を失っていると判断されるときには、代理人を委任することができません。
そのため、発症から亡くなるまで家を放置することになり、相続後も受け継ぐ方が決まらなければ、空き家が生まれる原因になります。
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有効な空き家対策!家族信託の制度とは
活用の予定がない実家を相続した場合など、空き家の所有には管理の手間や税金の支払いも伴うため、早い段階での空き家対策を検討することが重要です。
ここでは、有効な空き家対策になり得る家族信託の制度について、仕組みを解説します。
家族信託の仕組み
家族信託は、家族のために、家族がおこなう財産管理の制度といえます。
法律である信託法に基づいて実施される財産管理の制度が家族信託です。
仕組みとしては、不動産などの財産を所有する委託者が、信頼のおける方を受託者として、両者の間で信託契約を結びます。
受託者は、託された財産の管理や処分、運用などをおこないます。
あわせて、家族信託の制度では受益者も定めますが、信託財産から生じる収益を得るのは受益者です。
たとえば、実家の所有者である母が、長女を受託者として、信託契約を結んだとします。
信託前の段階では、母が不動産の名義と財産権を両方もっている状態です。
制度を利用すると、信託財産である実家の名義をもつのは受託者である長女に変わり、実家の管理や処分などの財産管理義務も生じます。
受益者も母として決めていた場合、財産権は母がもっており、利益を受け取ります。
母が元気うちに、家族信託の制度で実家を長女の名義することにより、万が一、認知症を発症して判断能力を失っても長女が変わって管理することが可能です。
受託者が遠方にいる場合でも利用でき、管理や不動産売却をすることができるため、空き家のまま放置されるリスクを回避できる制度です。
成年後見制度との違い
親の財産管理をする制度としては、成年後見制度も挙げられますが、成年後見人による財産管理や必要最小限とされています。
また、成年後見の申し立てをした際、第三者である専門家が成年後見人に決められる傾向にあり、後見人を専門家がつとめる場合には報酬の支払いも必要です。
一方、家族信託では家族が受託者となることができ、親が認知症になった場合や死亡した場合でも、受託者が支障なく財産管理できます。
ただし、契約によって開始する家族信託の制度は、認知症になった後では利用できないため、元気なうちに検討することがポイントです。
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柔軟な財産管理で空き家対策が可能!家族信託のメリット
親が元気なうちに取り組める空き家対策としておすすめの家族信託には、複数のメリットがあります。
ここでは、税金や財産継承の面などで得られる、家族信託の代表的なメリットをご紹介します。
贈与にあたらない自益信託
自益信託は、委託者が、受益者と同じ人物である場合の信託です。
親子で家族信託を利用するケースであれば、親が委託者となるだけでなく、受益者を兼ねる場合が考えられます。
子が、親の信託財産を管理する受託者となり、契約を結びます。
このような自益信託をおこなう場合には、贈与としては扱われないため、贈与税も生じないことがメリットです。
子の判断で不動産売却ができる
家族信託の制度では、受託者が子の場合、親の信託財産を子の判断によって不動産売却できることもメリットです。
ちなみに、成年後見制度の場合は、不動産売却にも、事前に家庭裁判所に許可を得ることが求められます。
家族信託では委託者である親の判断能力が衰えても、信頼できる受託者の子が判断をして、処分を進められます。
家庭裁判所の関与を受けることなく、比較的柔軟な財産管理ができることは、家族信託のメリットのひとつです。
財産継承を数世代先まで決められる
遺言とは異なる大きなポイントであり、家族信託のメリットであるのが、財産継承を数世代先まで決められることです。
自宅を受け継ぐ方がいないといった理由から、空き家として放置され、荒廃するといったリスクを軽減できます。
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まとめ
相続人が遠方に住んでいるケースなど、相続が要因となって空き家が生じることも多いため、早めに空き家対策を検討しておくことは大切です。
親が元気なうちに、大切な資産である自宅などの管理を信頼できる家族に託せる制度が、家族信託になります。
とくに、親が信託財産を託す委託者と受益者を兼ねる場合は、自益信託として贈与税もかからないメリットもあり、おすすめの空き家対策といえます。
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